先日、僕と似た経歴のメーカーのデザイナーとIT企業の両方で、デザイナーを経験した友人と話す機会があった。
IT企業のデザインは場当たり的で、全体を見ていたりする人がいなかったりで、バラバラしていて、そもそも「完璧を目指すよりはまず終わらせろ」という青いSNSの人がただ言った言葉を、まるで神の啓示のように盲信して、良くも悪くもリリースされてしまう感がある、というような話をして、お互いわかるなあって同意しました。
メーカーのデザインのプロセスでいうと、まずトレンドチームが家具やデザインの展示会、ファッションのトレンドなどにインスパイアを受けながら、来年、数年先のデザインの方向性を決めます。
そのトレンドチームの方向性に則り、ハードウェアのデザイナーが、フラッグシップモデルをデザインして、それからその他派生モデルにデザインを展開します。
その後トレンドチームや、ハードウェアのデザインにインスパイアを受けなから、UIデザイナーがUIのデザインを作り、それが全商品のUIに踏襲されて、デザインされた会社の製品として、お客さんの手に渡ります。
そしてその商品が世の中に出る前に、会社のデザインの全体を見ているデザインのセンター長もしくはデザイン担当役員が、世に出していいデザインか、ダメなのかをジャッジをしているのです。
メーカーは、スタートアップとはスケジュールもプロセスも対極にあるようなデザインの進め方ですが、Appleのフラットデザイン、Googleのマテリアルデザインのように、自社のブランド力を高めるということにデザインの力を積極的にとりいれてきたのです。
全体ラインナップを考えたデザイン展開をしている車だと、街中を走っているベンツはどの車種を見てもベンツらしさ、BMWらしさ、マツダらしさがあります。
青い人の言葉だけでなく、メーカーにも再発見するべきところはあると思うのです。